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アスベスト調査

分析の速報日
建材(定性分析のみ)
納期:5営業日

【注意】お急ぎの分析納期や多検体については、予めご相談下さい(Webからの相談も受付けております)。

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アスベストとは

 アスベスト(石綿、いしわた)とは、天然に産する鉱物群のうち、蛇紋石や角閃石
などが光沢のある特異な繊維状に変成した無機繊維状鉱物の総称です。
 燃えず、熱に強く、柔軟であるなどの特徴から、産業的に有用な鉱物であった反面、発がん等の人体への影響から日本では規制の対象となっています。

アスベストの鉱物的な特徴

 アスベストとは、天然に産出する繊維状のケイ酸塩鉱物であり、中皮腫または肺がん等の
重篤な病気を引き起こす物質です。

特徴として・・・

  • 燃えないで高温に耐える(不燃性,耐熱性)
  • 表面積が大きく、他の物質との密着性に
    優れている(親和性)
  • 引張強さが極めて大きい(高抗張力)
  • 柔軟でかつ磨耗に耐える(耐磨耗性)
  • 熱、電気を通しにくい(絶縁性)
  • 薬品に侵されにくい(耐薬品性)
  • 腐らないで変化しにくい(耐久性)
アスベストの原石

この物質は過去に幅広い材料に使用され、建物の工事による飛散等が問題となっています。


アスベストの種類

 石綿障害予防規則の通達において、アスベストとは繊維状を呈しているクリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライトの6種類とされています。
 通称としてクリソタイルは白石綿、アモサイトは茶石綿、クロシドライトは青石綿と呼ばれており、この3種類をもって石綿の分析対象とされていた時期がありましたが、2008年以降の分析ではトレモライト、アクチノライト、アンソフィライトを加えた6種類を分析する事とされています。

    石綿名 鉱物名 化学組成式
蛇紋
石族
クリソタイル クリソタイル Mg3Si2O5(OH)4
角閃
石族
アモサイト グリュネ閃石 (Mg,Fe)7Si8O22(OH)2
クロシドライト リーベック閃石 Na2Fe32+Fe23+Si8O22(OH)2
トレモライト石綿 トレモライト Ca2Mg5Si8O22(OH)2
アクチノライト石綿 アクチノライト Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2
アンソフィライト石綿 アンソフィライト Mg7Si8O22(OH)2

繊維状のクリソタイルアスベスト 繊維状のアモサイトアスベスト 繊維状のクロシドライトアスベスト
クリソタイル アモサイト クロシドライト
トレモライトの原石 アクチノライトの原石 アンソフィライトの原石
トレモライト アクチノライト アンソフィライト

アスベスト含有製品の種類

 アスベストは様々な材料に使用されており、その9割が建物の建築材料に使われていると言われています。
 建材の発じん性の高さによってレベル分類されており、アスベストが含有していた場合、分類されるレベルに応じて届出が異なります。


石綿含有吹付け材:レベル1  発じん性:著しく高い

  • 吹付け石綿
  • 石綿含有吹付けロックウール(乾式)
  • 湿式石綿吹付け材
    (石綿含有吹付けロックウール(湿式))
  • 石綿含有吹付けバーミキュライト
  • 石綿含有吹付けパーライト
鉄骨に施工されている吹付け石綿
湿式石綿含有吹付け材

石綿含有耐火被覆材
石綿含有断熱材   :レベル2  発じん性:高い
石綿含有保温材

【石綿含有耐火被覆材】
  • 耐火被覆板
  • ケイ酸カルシウム板第2種
【石綿含有断熱材】
  • 屋根用折版裏石綿断熱材
  • 煙突用石綿断熱材
【石綿含有断熱材】
  • 石綿保温材
  • けいそう土保温材
  • 石綿含有ケイ酸カルシウム保温材
  • バーミキュライト保温材
  • パーライト保温材
  • 不定形保温材(水練り保温材)
エルボー部に施工されている石綿含有保温材
不定形保温材(水練り保温材)

石綿含有成形板等、その他:レベル3  発じん性:比較的低い

【外壁・軒天】
  • スレートボード
  • スレート波板
  • 窯業系サイディング
  • 押出成形セメント板
  • ケイ酸カルシウム板第1種
【屋根】
  • スレート波板
  • 住宅屋根用化粧スレート
【内装・天井】
  • スレートボード
  • スラグせっこう板
  • パーライト板
  • パルプセメント板
  • ケイ酸カルシウム板第1種
  • 石こうボード
  • ロックウール吸音天井材
  • ソフト巾木
【床】
  • ビニル床タイル
  • 長尺塩ビシート
  • フリーアクセスフロア材
【煙突】
  • セメント円管
【その他】
  • セメント管
  • ジョイントシート
  • 紡織品
  • パッキン

屋根に施工されているスレート波板
石綿スレート

石綿含有建築用仕上塗材  発じん性:比較的低い※

  • 建築用仕上塗材
  • 建築用下地調整塗材
外壁などに施工されている仕上塗材
厚付け仕上塗材

アスベスト含有建材が使用されている部位と建築材料

アスベスト含有建材が施工されていた部位
目で見るアスベスト建材(国土交通省)平成20年抜粋

より詳細な内容は、下記の資料をご覧下さい。
目で見るアスベスト建材(国土交通省)

※建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル
(厚生労働省・環境省)をもとに抜粋・作成
年号 法規、通達名 法規・通達の概要
昭和35(1960) 「じん肺法」制定 じん肺健診についての規定(石綿も対象)
昭和46(1971) 「労働基準法特定化学物質等障害予防規則」(特化則)制定 製造工場が対象、局所排気装置の設置、作業環境測定の義務付け(測定方法の規定なし)
昭和50(1975) 「労働安全衛生法施行令」(安衛法施行令)の改正 名称等表示(石綿5%超対象)
「特化則」の大改正(昭和45年ILO職業がん条約批推のため) 石綿5%超対象、取扱い作業も対象、石綿等の吹付け作業の原則禁止、特定化学物質等作業主任者の選任、作業の記録、特殊健診の実施、掲示等
昭和63(1988) 「作業環境評価基準」(厚生労働省告示)制定 法規に規定されている各種物質の管理濃度を規定(石綿も対象:2f/cm3)
平成元(1989) 「大気汚染防止法(大防法)・同施行令・同施行規則」の改正 石綿を特定粉じんとし、特定粉じん発生施設の届出、石綿製品製造/加工工場の敷地境界基準を10f/Lと規定
平成3(1991) 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)の改正 特別管理産業廃棄物として「廃石綿等」を新たに制定。吹付け石綿、石綿含有保温材等の石綿を含有する廃棄物が該当
平成7(1995) 「安衛法施行令」の改正 アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の製造等禁止
「労働安全衛生規則」(安衛則)の改正 吹付け石綿除去作業の事前届出
「特化則」の改正 石綿1%超まで対象が拡大、吹付け石綿除去場所の隔離、呼吸用保護具及び保護衣の使用、解体工事における石綿使用状況の事前調査結果の記録
平成8(1996) 「大防法」の改正 特定建築材料(吹付け石綿)を使用する一定要件をみたす建築物の解体・改造・補修する作業が「特定粉じん排出等作業」となり、事前届出、作業基準の遵守義務を規定
平成9(1997) 「大防法施行令・同施行規則」の改正
平成11(1999) 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」制定 特定第一種指定化学物質として石綿が規定され、年間500kg以上使用する場合に、環境への移動・排出量を国への報告義務付け
平成16(2004) 「安衛法施行令」の改正 石綿含有建材、摩擦材、接着剤等10品目が製造等禁止
「作業環境評価基準」(厚生労働省告示)の改正 石綿の管理濃度を改正(施行期日2005.4.1)
平成17(2005) 「石綿障害予防規則」(石綿則)の制定(施行期日:2005.7.1) 特定化学物質等障害予防規則から、石綿関連を分離し、単独の規則である石綿障害予防規則を制定。解体・改修での規制(届出、特別教育、石綿作業主任者等)を追加
「大防法施行令・同施行規則」の改正(施行期日:2006.3.1) 吹付け石綿の規模要件等の撤廃と特定建築材料に石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材が追加。掻き落し、破砕等を行わない場合の作業基準を規定
平成18(2006) 「大防法」の改正(施行期日:2006.10.1) 法対象の建築物に加え工作物も規制対象となる
「安衛法施行令」の改正(施行期日:2006.9.1) 石綿0.1重量%超の製品の全面禁止(一部猶予措置あり)
「石綿則」の改正(施行期日:2006.9.1) 規制対象を石綿0.1重量%超に拡大一定条件下での封じ込め、囲い込み作業に対する規制の強化等
「廃棄物処理法」の改正(施行期日:2006.10.1) 石綿0.1重量%超を含有する廃棄物(廃石綿等を除く)を石綿含有廃棄物と定義、無害化処理認定制度が発足((施行期日2006.8.9)
平成20(2008) 「石綿則」等の一部を改正する省令等(施行期日:2009.4.1) ・事前調査の結果の掲示
・隔離の措置を講ずべき作業範囲の拡大、隔離の措置等
・吹付け石綿除去作業について電動ファン付き呼吸用保護具着用を義務づけ
・船舶の解体等の作業に係る措置(施行期日2009.7.1)
平成23(2011) 「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2011.8.1) 船舶の解体等について、建築物解体等と同等の措置を義務付け
平成24(2012) 「安衛法施行令等」の一部を改正する政令(施行期日:2012.3.1) 石綿0.1重量%超の製品の製造等禁止の猶予措置を撤廃
平成25(2013) 「大防法」の改正(施行期日:2014.6.1) 届出義務者を発注者に変更、解体等工事の事前調査及び説明の義務化、作業基準の改正
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」(国土交通省告示) 建築物の通常使用における石綿含有建材の使用実態の把握推進のため、同規定を創設
平成26(2014) 「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2014.6.1) 集じん・排気装置の排気口からの石綿漏えいの有無の点検、作業場前室の負圧状態の確認、損傷・劣化等石綿粉じん発散のおそれがある保温材等の除去等の対応の追加
平成29(2017) 「石綿含有仕上塗材の除去等作業における飛散防止対策について通知」(環境省) 石綿含有仕上塗材の除去作業における飛散防止対策について、吹付け工法で施工されたものについては吹付け石綿として扱うこととした
平成30(2018) 「安衛法施行令」、「安衛則」の改正(施行期日:2018.6.1) 分析、教育用の石綿の製造・輸入・使用等を可能とした
「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2018.6.1) 石綿分析用試料等の定義、製造に係る措置、製造許可、届出等を規定
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」(厚労省・国交省・環境省告示) 3省連携により、国交省の旧規定の内容に解体時の事前調査に必要な知識を追加
令和2(2020) 「大防法」の改正(施行期日:一部除き2021.4.1) すべての建材への規制拡大及び作業基準の適用、事前調査方法の法定化・資格者による事前調査の実施、事前調査結果の記録の保存及び都道府県への報告の義務付け、取り残し等の確認及び記録の保存の義務化、直接罰の創設等
「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:一部除き2021.4.1) 事前調査及び分析調査を行う者の要件の新設、計画届の対象拡大、事前調査結果の届出制度の新設、隔離(負圧不要)を要する作業に係る措置の新設、その他作業に係る措置の強化、作業計画に基づく記録・保存の義務化、石綿の有無が不明な建材に対して石綿が使用されているものとみなして工事を行うことにより分析調査を不要とする規定を吹付け材にも適用 等
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」の一部改正(厚労省・国交省・環境省告示) 一戸建て等石綿含有建材調査者の講習規程を新設
令和5(2023) 「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」の一部改正(厚労省・国交省・環境省告示) 工作物石綿事前調査者の講習規程を新設
「石綿則」等の一部を改正する省令(施行期日:一部除き2026.1.1) 工作物石綿事前調査者の講習規程を新設、石綿が使用されているおそれが高い工作物への観光用エレベーターの昇降路の囲いの追加等
「大防法施行規則」等の一部改正(施行期日:一部除き2026.1.1)
「石綿則」等の一部を改正する省令(施行期日:一部除き2024.4.1) 石綿等の切断等の作業等に係る措置として、湿潤化の措置に限定せず、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの飛散を防止する措置を義務付け

アスベストに関する豆知識

日本におけるアスベストの全面禁止

 アスベストの使用が全面禁止になったのは、2006年(平成18年)9月1日からとされています。
 全面禁止については、労働安全衛生法における製造等の禁止(製造、輸入、譲渡、提供、使用などの禁止)にあたります。ただし、全面禁止になった日以前から使用されているものについては、引き続き使用できるとされていますが、一度建物等から取り外したもの等を再利用することはできません。

アスベスト全面禁止(厚生労働省)

 ただし、一部の製品などには例外的に製造が認められていた時期があり、最終的に製造がされなくなったのは2012年からとなります。

例外設備と禁止になった日付け
・非鉄金属製造業用施設の設備【接合部分のガスケット】2007年10月1日
・鉄鋼業用施設の設備【接合部分のガスケット又はグランドパッキン】2009年4月1日
・化学工業用施設の設備【接合部分のグランドパッキン】2011年3月1日
・化学工業用施設の設備【接合部分のガスケット】2012年3月1日

大気汚染防止法施行規則 第16条の5

 現在アスベストが禁止となっている地域は、イタリヤやイギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ諸国の他、カナダ、アメリカ、アルゼンチン、チリなどの南北アメリカ大陸、オーストラリアなどのオセアニア、エジプトやカタール、南アフリカなどの中東・アフリカ大陸、そして日本、韓国、台湾などのアジアが、主に禁止となっている場所となります。
 しかしながら、ロシアやカザフスタン、中国などでは今もアスベストの鉱山が稼働し、インドやタイ、ベトナム、インドネシアなどの地域では輸入をされています。

アスベストにまつわる歴史

 世界を見渡すと、アスベストは古代エジプトや古代ギリシャ、古代ローマにおいて使用されたいた記録が残されています。

アスベスト布が巻かれているミイラ アスベストが使われている古代ギリシャ、古代ローマ時代の服や鎧 アスベストが使われている火浣布
※イラストはイメージです

 日本においては、平賀源内が秩父地方で採取をしたアスベストで燃えない布、「火浣布(かかんぷ)」を作ったとされています。

アスベスト布が巻かれているミイラ アスベストが使われている古代ギリシャ、古代ローマ時代の服や鎧 アスベストが使われている火浣布
※イラストはイメージです

 産業革命とともに、アスベストが使用される用途は多岐にわたりました。その消費量は、アメリカの米連邦地質調査所の調べでは1980年頃にピークに達しました。日本においては主に建築物の建材として使用され、高度経済成長期と共に増加をして1975年にピークを迎えました。

環境の循環

 その後、アスベストに関わる健康被害の重大性から規制の対象や措置がとられ、鉱山の閉山や、製造の禁止とされる地域が増えています。

アスベストの大きさと形
 アスベストという鉱物は、糸の様な細長いものが寄り集まってできています。

カナダのケベック鉱山で産出されたクリソタイルアスベストの鉱物標本
アスベスト鉱石の説明

 この寄り集まったものをほぐしていくと、1本あたりおよそ0.02μmの大きさになるとされています。髪の毛の平均的な太さが70μm、花粉はおよそ30μm、黄砂が4μm程度で、PM2.5が2.5μm以下の粒子と考えると、とても細いです。
 実際に鉱山から採掘され、製品として成型された時には、大きな塊の状態で練りこまれたり、加工されました。

アスベストの繊維と髪の毛や花粉、黄砂、PM2.5の大きさの比較イメージ図   カナダのケベック鉱山で産出されたクリソタイルアスベストの鉱物標本
スケールイメージのキャプション   スレート板に含まれるアスベストのキャプション

 蛇紋石と角閃石では若干の違いはありますが、アスベストという鉱物の形は、繊維状の束となって存在しています。その形態的特徴は、アスベスト様形態もしくはアスベスティフォームとも呼ばれています。
アスベスト繊維のイメージ図   偏光顕微鏡のクロスポーラで観察をしたアスベスト繊維
スケールイメージのキャプション   スレート板に含まれるアスベストのキャプション

建築材料に含まれるアスベスト

【石綿含有吹付け材】

 吹付け材としてアスベストが含まれていたのは1956年から1975年頃とされており、施工場所は機械室やボイラー室、ポンプ室などの壁や天井、柱に施されていました。
 吹付けロックウールにアスベストが含まれていたのは1961年から1987年頃とされ、施工場所は吹付け材と同様に機械室などの梁やデッキプレートなどに施されていました。

クリソタイル(白石綿)とクロシドライト(青石綿)が含まれる吹付材   アスベストが含まれていない吹付けロックウール材
クリソタイル(白石綿)とクロシドライト(青石綿)が含まれる吹付材のキャプション   クリソタイル(白石綿)とアモサイト(茶石綿)が含まれる吹付けロックウール材のキャプション

 同じ用途で施工されるロックウール(岩綿)やグラスウールそのものについてはアスベストではないため、今も建築材料として使用されています。

アスベストが含まれていない吹付けロックウール材   アスベストが含まれていないグラスウール材
アスベストが含まれていない吹付けロックウール材のキャプション   アスベストが含まれていないグラスウール材のキャプション

 これら以外にも、吹付けバーミキュライトや吹付けパーライトなどにアスベストが含まれていることがありました。

建築材料の吹付けバーミキュライト   建築材料の吹付けパーライト
建築材料の吹付けバーミキュライトのキャプション   建築材料の吹付けパーライトのキャプション

【石綿含有耐火被覆材、石綿含有断熱材、石綿含有保温材等】
 耐火被覆材は、鉄骨造の建築物においてその梁や柱周りに使用されていました。建築材料の種類としてはけい酸カルシウム板第2種が1963年から1997年頃まで使用されていました。

建築材料のけい酸カルシウム板第2種
建築材料のけい酸カルシウム板第2種のキャプション

 断熱材は煙突用に2004年頃まで、屋根用折版に1989年頃まで使用されていました。また、煙突用の建築材料においては断熱材だけではなく、煙道側のライニング(もしくはライナー)にも石綿が含有しているものがありました。

建築材料の煙突用断熱材
建築材料の煙突用断熱材のキャプション

 保温材は石綿含有けいそう土保温材や石綿含有けい酸カルシウム保温材などが1980年頃まで使用されていたとされ、身近に目にするのは配管の周りに結露防止などを目的に施工されたものです。これら保温材や被覆にはアスベストが含まれていたケースがありましたが、同じ目的で施工されている発泡スチロールやグラスウールはアスベストではありません。

建築材料の発泡スチロール保温材 建築材料のグラスウール保温材 建築材料のけいそう土保温材
建築材料の発泡スチロール保温材のキャプション 建築材料のグラスウール保温材のキャプション 建築材料のけいそう土保温材のキャプション

【石綿含有成形板等】
 石綿含有成形板は、内装材として床や巾木、壁、天井などに使用され、外装材としは外構回りや外壁、軒天、耐火間仕切りなど多岐にわたって使用されました。用途が多かったため比較的新しいものでは2004年頃まで製造され、それぞれの建築材料について類似している製品もありました。
 また、建築材料そのものではなく、接着剤などにアスベストが含まれていたり、施工時に練りこまれたものなどもありました。

《床材》
建築材料のビニル床タイル(Pタイル) 建築材料のフロアシート(長尺塩ビシート) 建築材料のクッションフロア
建築材料の吹付けバーミキュライトのキャプション 建築材料のフロアシート(長尺塩ビシート)のキャプション 建築材料のクッションフロアのキャプション

《巾木》
建築材料のソフト巾木
建築材料のソフト巾木のキャプション

《壁・天井》
 石こうボードは現在の日本産業規格ではJIS A 6901があり、主原料であるせっこう(石膏)を芯としてその両面をボード用原紙で被覆した板材の呼称とされています。過去の建築材料では、アスベストは石こうや原紙などに含まれていました。
 同様に、スレートやけい酸カルシウム板は繊維強化セメント板として現在はJIS A 5430という規格があります。この中で、スレートはセメント、繊維及び混和材料を主な原料としたもの、けい酸カルシウム板は石灰質原料、けい酸質原料、繊維及び混和材料を主な原料としたものとされています。過去の建築材料では、アスベストは主にセメントやけい酸質原料などと一緒に含まれていました。
 この建築材料は使用されていた期間が長い事から、類似の材料でも呼称が多岐に(フレキシブルボード、ケイカル板など)およびますが、けい酸カルシウム板第1種では切断等を伴う解体などの除去を行う際に負圧までは求めない隔離養生が必要になるなど、種類によって除去工法が異なってきますので材料の判断には注意が必要です。

建築材料の石こうボード(石膏ボード) 建築材料のけい酸カルシウム板第1種(ケイカル板) 建築材料のスレートボード(フレキシブルボード)
建築材料の石こうボードのキャプション 建築材料のけい酸カルシウム板第1種(ケイカル板)のキャプション 建築材料のスレートボード(フレキシブルボード) のキャプション

 他にも似たような場所で使用される建築材料にはロックウール吸音板(岩綿吸音板)や化粧石こうボード、木質ボードなどがあります。
 これらの建築材料は、設計図書以外にも施工方法や打音、破断面などから違いを判断することができます。

建築材料のロックウール吸音板(ソーラトン)(岩綿吸音板) 建築材料の化粧石こうボード(ジプトーン) 建築材料のインシュレーションボード(木質ボード)
建築材料のロックウール吸音板(ソーラトン)(岩綿吸音板)のキャプション 建築材料の化粧石こうボード(ジプトーン)のキャプション 建築材料のインシュレーションボード(木質ボード)のキャプション

 《外装材》
 外装材は外回りに使用されていた事から、セメントやモルタルなどと一緒に施工されていることがあります。

建築材料の押出成形セメント板 建築材料のサイディング 建築材料のアスファルトルーフィング
建築材料の押出成形セメント板のキャプション 建築材料のサイディングのキャプション 建築材料のアスファルトルーフィングのキャプション

【石綿含有建築用仕上塗材】 
 石綿含有建築用仕上塗材は、内装や外装の仕上材として2004年頃まで製造・販売されていました。
 またその種類は多岐におよび、呼び名や通称も様々なものがあります。代表的なものですと、アクリルリシンやセメントスタッコ、吹付タイル、じゅらくなどがあります。
 仕上塗材そのものにアスベストが含有している製品の他に、下地の表面に塗材が塗布されやすくするために施工される建築用下地調整塗材にもアスベストが(こちらは1970年頃から2005年頃まで)含有していました。
 2021年(令和3年)までは吹付け施工された仕上塗材は大気汚染防止法の特定粉じん排出等作業実施届出を提出しなければいけませんでしたが、2025年現在は法の届出対象特定工事(着手の14日前までに届出をする工事)には該当していません。ただし、各都道府県や市区町村の条例による届出、特定粉じん排出等作業計画の作成、一定規模以上の工事における事前調査結果の電子報告は必要になりますので、所管する自治体や労働基準監督署へ確認をすることが大切です。

仕上塗材(塗装)における各層の名称について


建築材料の複層仕上塗材下地ALC(外装材、吹付タイル)   建築材料の薄付仕上塗材下地モルタル(外装材、リシン吹付け)
建築材料の複層仕上塗材下地ALC(外装)のキャプション   建築材料の薄付仕上塗材下地モルタル(外装)のキャプション

建築材料の薄付仕上塗材下地モルタル(内装材、EP塗装)   建築材料のじゅらく(内装材、聚楽壁、京壁、和壁)
薄付仕上塗材下地モルタル(内装)のキャプション   じゅらく(内装)のキャプション

【その他アスベスト含有製品など】 
 ほとんどのアスベスト製品は建築材料として2004年頃まで製造されていましたが、建築材料以外にも工作物や船舶の材料として、また一部の用途に使われるガスケットなどは2012年頃まで製造がされていました。

フランジ部分に使用される建築材料のガスケット ダクト部分に使用される建築材料のキャンバス ダクト部分に使用される建築材料のパッキン、別称アスベスト紐
建築材料の吹付けバーミキュライトのキャプション 建築材料の吹付けパーライトのキャプション 建築材料の吹付けパーライトのキャプション

層間部分の塞ぎとして使用される耐火シール材(別称耐火パテ)と延焼防止塗料 実験の際に、アルコールランプやバーナーなどの炎が直接あたらないように設置する金網 冷蔵庫の断熱目的で金属板の間に施工されていたハニカム構造の石綿紙(アスベストペーパー)
層間部分の塞ぎとして使用される耐火シール材(別称耐火パテ)と延焼防止塗料のキャプション 実験の際に、アルコールランプやバーナーなどの炎が直接あたらないように設置する金網のキャプション 冷蔵庫の断熱目的で金属板の間に施工されていたハニカム構造の石綿紙(アスベストペーパー)のキャプション

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